捻挫・肉離れ（筋挫傷）のスポーツ外傷に鍼灸治療
（主に足首関節捻挫・ハムストリングスの肉離れなど）

スポーツで発症した肉離れについて

肉離れとは、多くのケースでスポーツなどで筋肉に強い力がかかることが原因で発症します。筋肉に強い収縮がかかることで、筋繊維の一部に損傷が生じ、筋肉が部分的に断裂する症状をいいます。整形外科的には筋挫傷と呼ばれ、ふくらはぎや太ももなどの下半身の筋肉に起こることが多くまれに脇腹の筋肉でもおこったりします。肉離れが一度起こると損傷部位に痛みが起こるためいろんな動きが制限されます。太ももの場合は歩行が困難になります。また断裂してしまうとその断裂部位が凹むこともあります。

肉離れの主な症状は痛みでありますが、そのまま動かしてしまうと断裂がさらに進んだり、腫れも強くなり、さらに血行が悪くなることで痺れるコンパートメント症候群にいたることもあるので、発症すれば必ず安静を指示するのが大事です。上記でも説明したRICE処置をおこないます。Rest（安静）、Icing（冷却）、Compression（圧迫）、Elevation（挙上）のこの4つをおこなう処置をいいます。

慢性的に繰り返す足首の捻挫について

足首の捻挫は、通常、何かしらの外力により足首が内側にねじれることで足首外側の靭帯が損傷することで発症します。初めての捻挫では損傷が浅いので適切な処置とセルフケアにて完全に治癒するケースがほとんどです。よくないケースでいえばちゃんと治る前に動かしてしまい、足首の靭帯や関節が完全の回復せず、緩くなった状態、関節動揺性（関節不安定）になります。

この状態が続くと、簡単に捻挫が発症しますし、常に腫れと痛みをともなっている状態になりスポーツをしている方はパフォーマンス力も不安定となります。ですのでこのような関節の状態を少しでも改善させておくことがおすすめですし、当院での鍼治療を開始することもすすめます。

スポーツ外傷に対する治療は主に鍼のみを使います。また鍼も置針術よりも抜いて刺してをくりかえす単刺術が主になります。ただし痛みや腫れがひどい時や慢性の状態であれば置鍼がメインです。

鍼をして少しほぐしてそしてまた鍼をする・・・延々とします。鍼の種類も単刺の場合は細いのが有効だという結果はでています。比較的鍼に強い方ならかなり痛みや可動域が改善しスポーツレベルが上がるのは間違いないでしょう。

ポイントはツボを取る指の感覚で的確にとれなければなりません。当院では中国にてその技術をしっかり学びましたのでかなりのアスリートさんの希望にこたえていると思っています。少しでもよくなればスポーツをされている方は能力が上がりますので痛みをとる治療というより身体能力をあげる治療に意識をもつ場合が多いです。ですが発達途上の中学生の場合は能力を上げるのではなく身体を治すことを優先しています。

スポーツ外傷に対する鍼灸とは主に怪我・故障や使いすぎによっておこるさまざまなスポーツによる障害の治療に最適です。また予防やコンディショニングに対しても有効なのですが当院ではそこまでの個々にたいするスポーツに対する知識はもっていません。ですので当院ではあくまで痛み緩和と筋肉の柔軟性の部分に力を入れています。それ以外のトレーニングの仕方などはスポーツ整形外科やトレーナーさんなどでしてもらってください。

当院では目的をはっきりとわけることで自分の得意な面に集中してます。またスポーツ疾患だけでなくほとんどの病は西洋医学との併用が1番です。西洋医学で診断をしてもらい治療をしてそれでは補完できない部分を東洋医学や鍼灸でおこなうのです。特に筋肉などの軟部組織への治療は鍼灸が最適であります。

当院でも多くのスポーツ選手が来られますが例えば靭帯や半月板障害やヘルニアがあってもそれだけが痛みの原因となっている場合は少なくそれと同じように軟部組織も悪くなっているのです。ですのでスポーツ選手には西洋（整形）と東洋（針灸）の両方からのアプローチが必要となってくるのです。痛みとは元来からだの危険信号でありますのでここが悪いと忠告しているわけでもあります。ちゃんとした整形外科検査をおこなわずに鍼をすれば痛みがとれるからということで鍼灸治療を継続すれば靭帯や半月板などはさらに損傷してしまう可能性もあるでしょう。痛みをとる事が大事なのはもちろんですがもっと大事なのはその痛みがどこからきているかです。それを理解したうえで鍼治療をおこないスポーツをしないといけません。

西洋医学での検査、鍼灸治療、トレーニングなどの予防どれが欠けても良い治療はできないのです。当院では特にスポーツで痛めた肩関節や腰や下肢の疾患を得意としています。スポーツでいえば野球やサッカーの選手が多く来院していますがいろんなプロスポーツ選手の方がいます。スポーツをされている患者さんはこちらの指導もしっかり聞いてくれますので早期の回復が期待できます。

足首捻挫のケースでは

足首をねんざして整形ででレントゲン・MRIなどの検査をすると以下のような病名がつくとおもいますが、簡単に言えば足首捻挫であります。よく傷める靭帯としては以下の3つです。

・前距腓靭帯損傷

・三角靭帯損傷

・前脛腓靭帯損傷

の3つの靭帯のどこかか、もしくはすべての靭帯が損傷している方もいます。

この多くはRICE処置をしていれば1週間ほどしたら改善するのが普通です。RICE処置とは、Rest（安静）・Icing（冷却)・Compression（圧迫)・Elevation（挙上)の4つのことを意識した応急処置のことを言います。まずは傷めたらすぐにおこなうことが大事ですし、これをしながらすぐに鍼灸をするのも早期回復に大事だと感じます。さらにひどい方にはギブス固定などもおこなわれます。

ここで大事なことはアイシングのところで初めだけは冷やすわけだけど、なるべく早めに温めることに切り替えるのも大事です。損傷を治すためにでている炎症をアイシングで消すことで痛みは軽くなるのだけど損傷部位の回復は遅らせることもあります。特に鎮痛薬や解熱剤で炎症をとる行為はどうなのかなと感じたりします。

あとは、整形に行っている方はいいのですが、捻挫か骨折なのか？肉離れなのか断裂なのか？そのレベルはどのくらいのものなのか？それにより治療は異なるでしょう。鍼灸単独でいいか？整形などと併用しておこなっていくか？どちらにしても鍼灸と併用することで痛みも炎症も早期に取り除けます。

鍼灸の素晴らしいところは即効性があるということです。ぜひ早期に試してほしいと思っています。競技への復帰もはやいでしょう。

次に慢性の場合ですね。これはこじれていることが多いです。靱帯が伸びていたり、骨棘ができていたり、関節包の炎症など様々なことが考えられる状態ですし複合もしていることでしょう。治療の考えは一緒ですね。まずは痛みと炎症を取り除くことです。それに加えてリハビリは必衰です。元の組織修復のために動かしていただきながら治療していく事になります。やや時間はかかるものの鍼灸の即効性に関しては十分感じていただけることかと思います。

捻挫の後遺症(足首関節不安定）について

捻挫の痛みは慢性であれ急性であれ、また治らなくなった後遺症に対しても鍼灸治療は有効だと感じています。捻挫がどのくらいのレベルかによって効果性は変わるものの、鍼の効果は非常に高いです。

今回は繰り返す捻挫について説明してみます。足首が急にガクッとなって力が入らなくなることでお困りの方が良く来られます。よくよく話を聞いてみると過去に捻挫をした部位であることが多いですね。スポーツをしている方ではバランスがとりにくくなることからパフォーマンス力がおちますし、足首をかばうことで他の場所も傷めやすくなります。多くはふくらはぎや太ももなど、肉離れを起こしやすくなるともいわれています。効き足のほうだけでなく常にかがっている支えのほうも傷めやすいのでストレッチを入念にしたり、足首を再度しっかり治療することをおすすめします。

足首関節捻挫（後遺症）の鍼灸治療について

当院では痛みを取る事はもちろんのこと、足首をかばうことででてくる筋肉の問題やバランスの異常もみていきます。リハビリをしながら鍼灸を続けていくことで長年の捻挫の後遺症にも効果的です。

まずは足首の痛みや腫れを取ることを意識していきます。ここが中途半端だといくらバランスをとる治療を加えても意味がありません。この痛みをとるのは急性ならいいですが慢性ならなかなかうまくいきません。鍼灸師のレベルが問われますのでしっかりとまずは効果をだしていきたいところですね。

痛みや腫れの治療をしたら足首の関節の中を意識した治療を加えます。それにより関節内の問題をクリアしていきます。関節包であったり、靭帯の奥であったり、軟骨であったりを意識して損傷しているところの治癒力を高めるように意識します。ここは局所だけの治療しかできないところでは難しいでしょう。当院の董氏楊氏の技術がここにいかされることになります。

 そして最後に足首周りを自宅で動かしてもらいながらリハビリをしてもらい、もしそれで痛みがでたり腫れがあるのならそこにもう一度鍼をしていき強化していくことになります。その時に注意するのはかばわないことです。かばうことでいずれはそのかばっていた部分も悪くなるからなので、かばわないでリハビリしていただく事が大事になります。

肉離れの原因と鍼灸治療について

肉離れとは、筋肉の一部が損傷したり断裂した状態のことを言います。若年者ではスポーツや運動をして強い負荷をかけた場合や、脱水で走っているときなどにおこります。また中高年者では普段は運動をしないのに子供の運動会などで足がつってというのを見たことがあるのではないでしょうか？

肉離れを起こす瞬間ではよく筋線維の断裂する音が聞こえるといいます。それを無視したまま動かしているとだんだん断裂が広がり筋肉がダラ～ンと垂れ下がることもあります。そしてそこには内出血がたまっていきます。駅伝などではいつくばってでも歩こうとしている選手を見たことがあるのではないでしょうか？

肉離れは予防が大事になります。運動前の準備体操をしっかりおこなっていることで、硬くなり弾力がない筋肉を伸ばしていき急な伸び縮みに対応できる強度をつけておきます。いきなり動かさないことが大事です。

どの筋肉でも発生する可能性はありますが、多いのが太ももの裏や前側、そしてふくらはぎの筋肉は肉離れを起こしやすい場所です。

肉離れの鍼灸治療としては、まずは肉離れが起きている場所に直接鍼を打ち、損傷し断裂した筋線維の修復を促していくことからはじまります。損傷がひどければひどいほど局所だけでは足りなくなるので遠隔の手足の穴を加えて補強していきます。また予防としては1度肉離れを起こした筋肉は硬くなっていくことが多いことから毎回治療で使っていくことが多いです。特にふだんから運動やスポーツをしている方にはケアとして必要であると思います。

当院でよく来られる肉離れはふとももの裏側の筋肉をハムストリングスというのですがここの筋肉を傷める方が多く来られています。ここに肉離れが起きてしまった場合は、非常に治りが悪い場所であり慢性化しやすい場所であるので当院でもよく来られる場所であります。

急性であればRICE処置はもちろんのこと、早い段階でアイシングを辞めて鍼灸をはじめたいところです。慢性の方はよりアイシングに頼ることなく鍼灸とリハビリを重視してください。

よく来るスポーツ疾患の症状について下記にてまとめました。